終わりは始まりか ~私達の場合~
19
二人で何故か無言で歩く。
どちらも口を開くタイミングをうまくつかめないようだ。
すると麻生くんの左手が私の右手に触れた。
「…やっと捕まえた。」
麻生くんはポツリとそう言った。
「実は会社に辞表を出して来たんです。覚悟を決めてここへ戻って来たんです。でも…。」
私はそんな麻生くんの左手をぎゅっと握る。
「何が出来るんじゃなくて、ただ美月さんがそばに居てくれたらそれで良かったんです。いや、違う。俺がただ美月さんのそばに居たかったんです。それを思い出して、俺は引き返して来たんです。」
そして麻生くんはにっこりと笑う。
「仕事の事も、陽輝の事ももうどうでも良くなったんです。美月さんが欲しかったんです。」
私の驚く顔に慌てて訂正する麻生くん。
「あっ、いや、どうでもいいというのはちょっと違います。美月さんが最優先だという事です。」
どちらも口を開くタイミングをうまくつかめないようだ。
すると麻生くんの左手が私の右手に触れた。
「…やっと捕まえた。」
麻生くんはポツリとそう言った。
「実は会社に辞表を出して来たんです。覚悟を決めてここへ戻って来たんです。でも…。」
私はそんな麻生くんの左手をぎゅっと握る。
「何が出来るんじゃなくて、ただ美月さんがそばに居てくれたらそれで良かったんです。いや、違う。俺がただ美月さんのそばに居たかったんです。それを思い出して、俺は引き返して来たんです。」
そして麻生くんはにっこりと笑う。
「仕事の事も、陽輝の事ももうどうでも良くなったんです。美月さんが欲しかったんです。」
私の驚く顔に慌てて訂正する麻生くん。
「あっ、いや、どうでもいいというのはちょっと違います。美月さんが最優先だという事です。」