終わりは始まりか ~私達の場合~
そんな麻生くんの様子に私は苦笑するしかない。

「麻生くんにいつも心の中で感謝していたの。私に陽輝を与えてくれてありがとうって。もう私はそれで十分だと思っていた。ううん、そう思い込もうと思っていた。」

私は足元に視線を落とした。

「あの日は最後の日だとずっと思っていた。でも違った。」

私はそっと麻生くんを伺う。

「送別会で声を掛けられてから…、麻生くんと言葉を交わしてからがすべての始まりだった。」

すると麻生くんはゆっくりと微笑んだ。

「俺はあの日を始まりにするために、美月さんの後をトイレまで追いかけて行ったんですけどね。」

「そうだったの?」

だから…。

-初めての約束ぐらい守ったらどうですか?-

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