終わりは始まりか ~私達の場合~
麻生くんの言葉がよみがえる。

「これからが俺の本当の始まりですけどね。」

麻生くんの満面の笑みの中に、陽輝の面影を感じる。

「個人設計事務所で働く事、陽輝のお父さん、美月さんの家事の手伝い…、これからが本格デビューです。」

麻生くんが私を抱きしめる。

「そばに居ても良いですか?」

麻生くんの優しい声が私の耳を刺激する。

「私は麻生くんの人生の邪魔にならない?」

麻生くんの身体がびくっと反応する。

「ずっと人と距離を取って来たのよ。そして仕事に疲れてしまったの。」

きっとそれが佐藤さんの気持ちにも気が付かなかった理由。

「俺と居て、美月さんは疲れますか?」

私は答えようとして顔を上げたが…。

「もう覚悟は出来ていますよね。」

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