終わりは始まりか ~私達の場合~
「そうだね。」

私はあふれてくる涙をそのままに、麻生くんに身体と心を預ける。

「場所を変えましょうか、美月さん。」

私が落ち着いた様子を見て、麻生くんは私の顔をまた覗き込んだ。

「…俺の部屋に来ませんか?」

麻生くんは私の返事も聞かずに立ち上がった。

私はそんな麻生くんを座ったまま見上げる。

「美月さん?」

私のうつろな表情を見て、麻生くんは笑う。

「俺が美月さんの話を聞きたいんです。いけませんか?」

そして私の腕を引っ張って、立ち上がらせる。

「それも良いかもね。」

ほろ酔いの状態の私は、もう考える事が面倒くさくなっていた。

私は立ち上がろうとしてよろめく。

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