終わりは始まりか ~私達の場合~
外でこんなに飲んだのは久しぶりかもしれない。

若い時には仕事で行き詰って、飲み明かした日もあったけれど。

最近は忙しくてそんな暇があったら、早く家に帰って眠りたかった。

いや、それは格好のいい言い訳かもしれない。

それなりの歳を重ねたのが、本当の理由。

つまりお酒が次の日に残ってしまうようになったのだ。

「美月さん、大丈夫ですか?」

そう言いながら、麻生くんはしゃがんで私に背中を見せる。

「ん?」

「危ないので、どうぞ。歩いて帰れる距離なんです。」

さすがに私は戸惑う。

「私、こう見えても重いのよ。腰でも悪くするといけないから…。」

私の酔いも少し醒めたような気もする。

「いいえ、足元がふらついています。」

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