終わりは始まりか ~私達の場合~
始発の新幹線の自由席に座る。

私は座席にぐっと身を預ける。

まるで座席に背中が吸い込まれていくようだ。

そしてそっと私は目を閉じる。

もっと早く知り合っていたら、私達はどうなっていたんだろう。

今更どうにもならない事を考えてみる。

私は麻生くんとのいろいろな意味での相性の良さを感じた。

何よりも話を聞いてもらった時の印象が強く残っている。

「神様って意地悪ね。」

私は苦笑いをした。

こんなタイミングで麻生くんとこんな時間を持つ事になるなんて。

そろそろ新幹線が出発する気配。

私は窓の向こうに、麻生くんの姿を見つけた。

麻生くんは焦ってきょろきょろ周りを見渡している。

< 24 / 181 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop