終わりは始まりか ~私達の場合~
新幹線が動き出した。

私は向こうを向いている麻生くんにぎこちなく手を振った。

麻生くんはその瞬間…。

こちらに気が付いたようだ。

目を大きく見開いたその表情に、私は微笑みかける。

ああ、何だろう、この何とも言えない想い。

胸がぎゅっと締め付けられる。

最期の夜に良い想いをさせてもらったな。

神様に意地悪だと思ってしまった事を謝らないといけないかもしれない。

こういう形がきっと一番いい形なのだろう。

今の私達にとっては…。

私はそんなくすぐったい気持ちに抱かれながら、静かに眠った。

そして…。

危ない…、どれくらい眠り込んでいたんだろう。

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