終わりは始まりか ~私達の場合~
やっぱりちょっと老けたかな。

声には出して言えない娘の本音が頭をかすめる。

「ただいま、お父さん。」

私は荷物を置いて、ソファに座る。

「随分早かったんだな。」

「うん、昨晩送別会してもらって、その足で帰って来たから。」

正直に話しているのに、少し後ろめたい感じがするのは、そう…、きっと麻生くんのせい。

「美月はいつからこっちの仕事をするつもりだ?」

お父さんの興味はそちらのようだ。

「今日からでもいいよ。」

私の返事にお父さんはゆっくりうなずく。

「ありがたいな。実は、仕事が滞っていてな。」

「ごめんね、私のペースが落ちちゃっているから。」

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