終わりは始まりか ~私達の場合~
でもそれもこれで最後。

その後もひっきりなしに話しかけられる人々に挨拶を交わすのも飽きて来た。

私はそっと貸し切りになっている部屋から抜け出した。

女子トイレの中の鏡の前で、そっと溜息をつく。

実家の母親の体調が思わしくない。

両親が細々と経営している設計事務所へ帰って、仕事を手伝いながら母親の面倒を見る。

そう決心して、私は田舎に帰ることにしたのだ。

何しろ私は都会での仕事にも、この人間関係にも疲れていた。

鏡の中の自分の顔を見る。

「まるで男みたい。」

きつい仕事人間の表情をした自分の顔にうんざりする。

こんな私に必要なのはある種の環境なのかもしれない。

そんなことをぼんやりと考えてみる。

トイレを出たところで、人とぶつかりそうになった。

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