終わりは始まりか ~私達の場合~
「俺達はしっかり美月をアテにしているんだからな。なあ、母さん。」

お父さんの笑顔が弱々しく感じるのは、私の気のせいだろうか。

「向こうに居た時と同じくらい忙しくなるじゃない。」

私の悲鳴に、両親はニッコリ笑う。

「ねえ、誰かその関係で頼りになる人はいないの?」

「えっ?」

お母さんの質問の意図が分からない。

「誰か美月と一緒に設計事務所をやってくれる人が居たら、そのまま譲っても良いんだけれどな。」

お父さんの言葉でそれを理解する。

共同経営者でも欲しいという所か。

「ううん、まあ…。」

私は言葉を濁す。

当然こういう仕事を一緒にしてくれる人となったら、前の会社のつてをたどるしかない。

< 30 / 181 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop