終わりは始まりか ~私達の場合~
「そんな責任は取れないわ。しかも私…。」

「何かあったんですか?」

麻生くんは怪訝そうに聞いた。

「…とんでもなく忙しいのよ。」

私は溜息をついてから、話を続ける。

「設計事務所って、ハウスメーカーの型にはまらないお施主さんがやってくるのよ。調べる事が多すぎて、仕事をしながらまた一から勉強している。」

私の言葉を聞いて、麻生くんは笑う。

「やりがいがあるじゃないですか。…迷っていたけれど、戻って良かったんじゃないですか?」

ああ、どうして麻生くんは私の欲しい言葉を知っているんだろう。

「そういう事。だから麻生くんの仕事には付き合っていられないのよ。」

「でも…。」

「ん?」

「相談ぐらいは乗ってくれるでしょう?…それに俺も美月さんの近況を聞きたいですし。」

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