終わりは始まりか ～私達の場合～

私はスマホを耳に当てながら、視線を落とす。

「疲れ切っちゃって、夜は良く眠れる。」

私のあまりにも正直な言葉に、麻生くんは大笑いをする。

「美月さんの今の表情が見たいな。」

何気なくつぶやく麻生くんの言葉に私は反応してしまう。

「最後に会った時より、マシな顔をしていると思うよ。」

私は照れくさそうに微笑む。

相手に表情が見えない方が良い時もある。

「俺の今の現場が終わったら、見に来ませんか？」

麻生くんの雰囲気は優しい。

「う…ん…。多分その頃は凄く忙しいと思うから、そちらに行くのは無理だと思う。」

「何だか歯切れが悪いですね。」

麻生くんには私のちょっとした動揺は届いてしまうようだ。