終わりは始まりか ~私達の場合~
6
「おい、この図面を書いたのはお前だろう。」
現場の様子を見に行った私にそんな声を掛けて来たのは、大工の伊吹。
滝田伊吹(たきだいぶき)は幼稚園の時からの腐れ縁、つまりは幼馴染だ。
伊吹の家は工務店、うちは設計事務所という事で仕事面でもずっと懇意にしていた。
だから私達が幼い頃、親が忙しい時はよくお互いに預かったり預けられたりの間柄だった。
「親父さんの図面より無茶な指示が多すぎる。」
ブツブツ言いながら、伊吹が私の所にやって来た。
「だって規格が決まっていた前の会社よりいろいろ自由になって、その分いろいろとしたくなってしまうのよ。」
私は伊吹に笑う。
「それは大工泣かせだ。他の職人さんも同じだ。」
一瞬伊吹は私に怖い表情を見せたが、それをすぐに緩ませた。
「仕方ないよな。何よりお前がそれだけ知識を持っていて、熱心に頼まれると俺達は断れなくなってしまう。出来るか出来ないかのすれすれのラインで頼んで来るのは、本当にずるい。」
現場の様子を見に行った私にそんな声を掛けて来たのは、大工の伊吹。
滝田伊吹(たきだいぶき)は幼稚園の時からの腐れ縁、つまりは幼馴染だ。
伊吹の家は工務店、うちは設計事務所という事で仕事面でもずっと懇意にしていた。
だから私達が幼い頃、親が忙しい時はよくお互いに預かったり預けられたりの間柄だった。
「親父さんの図面より無茶な指示が多すぎる。」
ブツブツ言いながら、伊吹が私の所にやって来た。
「だって規格が決まっていた前の会社よりいろいろ自由になって、その分いろいろとしたくなってしまうのよ。」
私は伊吹に笑う。
「それは大工泣かせだ。他の職人さんも同じだ。」
一瞬伊吹は私に怖い表情を見せたが、それをすぐに緩ませた。
「仕方ないよな。何よりお前がそれだけ知識を持っていて、熱心に頼まれると俺達は断れなくなってしまう。出来るか出来ないかのすれすれのラインで頼んで来るのは、本当にずるい。」