終わりは始まりか ~私達の場合~
伊吹はチラリと私に視線を向ける。

「だって、うちに出入りをしてくれている職人さんの腕を見込んでの無茶だから…。前の会社ではそういうのは無理だったから。」

私は困ったように伊吹を見る。

「少々無理かなと思っても、それを成し遂げてくれる職人さんばかりだから、こうやって現場に来て話をさせてもらうのがとても楽しいの。」

伊吹はそんな私に呆れたように苦笑いをした。

「そう、それだけ腕をアテにしてもらうと、俺達も手が抜けないし、やりがいもある。そういう所を上手につかんでいるよな、美月は。」

私達は上手に妥協点を見つけて笑う。

「でもお施主さんにも絶対無理な施工はちゃんと断っているんだからね。」

「それは分かっている。」

伊吹はうなずきながら、私の肩に手を掛けた。

「それより、お前の体調は大丈夫なのか?」

「えっ?」

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