終わりは始まりか ~私達の場合~
「じゃあ、よろしくね。」

私は伊吹にそう声を掛けると、そそくさと車に乗り込んだ。

伊吹は私がここへ戻って来てから、いつもこんな感じだ。

もう私に遠慮をしない。

伊吹はあの時壊せなかった幼馴染という壁を崩そうとしている。

「いい奴なんだけれどな。」

私の中に複雑な思いが交錯する。

伊吹は変わっていない。

そう、変わったのは私。

私の中に浮かんだ笑顔に、私は無理に首を振る。

「さあ、切り替えて頑張ろう。」

私は自分に言い聞かせた。










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