終わりは始まりか ~私達の場合~
私はゆっくりと、でもしっかりと首を横に振る。

「こんな時にそんな事を言わないで。間違って伊吹に甘えてしまいそうよ。」

私はすっかり弱気になっている自分に気が付いた。

「だから…、結婚しようって言っているだろう。」

最近の伊吹の言葉は図々しい。

こんな言葉をはっきり言うようになったのは、いつの頃からだろうか。

私はもう一度首を横に振る。

「それは無理だって。ずっと言っているじゃないの。」

するとふいに伊吹が私を抱きしめた。

つい逃げ損なってしまった。

「…伊吹。そんな事をしたってダメなものはダメなの。」

私にキスをしようとする伊吹から、私は何とか逃げ出した。

「どうして分かってくれないんだ?俺は美月たちをすべて受け入れる覚悟が出来ているんだぞ。」

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