終わりは始まりか ~私達の場合~
私の背中に伊吹の声が響く。

「ううん、伊吹が私達を背負う事はないのよ。」

「俺は背負わせてほしいと思っている。」

伊吹の気持ちはとても嬉しい。

でも…。

「私達は大丈夫だから。ちょっと帰る支度をしてくる。」

私はいたたまれなくなって、小走りにその場を離れる。

「待て、美月。」

そんな伊吹の声を振り払うかのように、私は外へ出た。

「…美月さん?」

「えっ?」

そこには忘れたくても忘れられない人が立っていた。

「やっぱり美月さんですね?」

その声色は忘れられない。

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