終わりは始まりか ~私達の場合~
「…麻生くん…。」

私はただ唖然と立ち尽くす。

まるで時間が切り取られたように感じた。

「どうしてここに?」

私は目を見張って、そんな言葉を口にしていた。

「やっとこの町を…、美月さんの実家を突き止めたんです。だから、居てもたってもいられなくてやって来たら…。こんな所で会うなんて…。」

そうここは葬儀場。

たまたま飛び出した私と麻生くんは偶然にも鉢合わせをしてしまったようだ。

「美月!」

そこへやって来たのは、当然伊吹で…。

伊吹は私達の様子をみて、一瞬ひるんだようだったが…。

「美月、誰だ、こいつは。」

私の横に立った伊吹は慌てたように急き立てる。

「彼は…。」

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