終わりは始まりか ~私達の場合~
「何となくキスしたくなって。」

麻生くんはあの時と違って、もう一度キスをした。

今度は長い、長いキス。

でも私は抵抗することすら忘れたかのように、それを感じていた。

「美月さんが変わっていなくて良かった。」

ふっと優しい息を吐き出した麻生くん。

「ううん、私は随分変わったわ。」

私は少し諦めたような顔をする。

「この2年で私は変わらないではいられなかった…。」

私は言葉をポロリと漏らした。

「俺、一週間有休を取って来たんです。」

「今の仕事の状態でそんなの無理でしょう。仕事はどうしてきたの?」

私はびっくりして、麻生くんを見つめる。

「いいえ、ちゃんと担当している分はきちんとこなしてきました。だってここに居る時に、会社の携帯にクレームの連絡でも来たら嫌じゃないですか。」

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