終わりは始まりか ~私達の場合~
「この子は?」

「もちろん私の子供よ。」

麻生くんは私に抱かれた陽輝の顔を覗きこむ。

「えっ?美月さんは結婚したの?」

陽輝はそんな麻生くんの顔に手を伸ばす。

1歳半の子供の笑顔は天使だ。

私はそんな陽輝の様子を見て、返事をごまかすかのように微笑む。

「陽輝が泣かないなんて珍しいな。美月、その人は?」

お父さんが不思議そうな顔をする。

「ああ、前の会社の人で麻生耀太くんって言うの。しばらくうちで手伝ってくれるって。」

私が簡単にそう紹介すると、お父さんは表情を緩めた。

「ああ、こないだ電話をもらった…。」

「えっ?」

< 72 / 181 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop