終わりは始まりか ~私達の場合~
「そんなの…、伊吹さんと結婚したら、そんなに頑張らなくても良くなるんじゃないですか?」

私は自分の言葉に墓穴を掘っている事を感じた。

ダメだ…、麻生くんにはいつもこうだ。

そこにお父さんが私を呼ぶ声が聞こえる。

「陽輝の着替えをしなくちゃ。」

私は麻生くんを置いて、風呂場へ向かう。

ああ…、麻生くんにはごまかしがきかない。

もうはっきりと話してしまった方が楽なんだろうか。

私はそんな事を考えながら、陽輝を受け取る。

陽輝は身体を拭いている時に他所事を考えている私をすりぬけ、リビングの方へ走っていく。

裸のままの陽輝を、麻生くんがぎごちなく抱き上げる。

「可愛いな。こっちまで笑顔になってしまう。」

陽輝は楽しそうに麻生くんの顔を触る。

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