終わりは始まりか ~私達の場合~
麻生くんもそれを嫌がるそぶりを見せない。

「本当に陽輝は麻生くんに対しては泣かないな。」

私の後ろからやって来たお父さんが感心したように言う。

「どういうことですか?美月さん。」

私は何とも言えない笑みを見せる。

するとお父さんがそれに答えた。

「陽輝は若い男の人が苦手みたいなんだ。特に伊吹に対しては、近くに寄るだけでもべそをかく時がある。生まれた時からそばに居るのにな。」

お父さんのそんな言葉を、不服そうに聞いている麻生くん。

「そうなの?美月さん。」

「ああ、そうね。機嫌がいい時でも、伊吹に対しては少し警戒しているような顔をするかな。」

私は苦笑いをしながら答えた。

「いや、そっちじゃなくて…。」

麻生くんはやっと陽輝の抱き方が安定したようだ。

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