終わりは始まりか ~私達の場合~
さっき聞いたばかりの声に覚えがあって、私は振り返る。

「えっ…と…。」

「麻生耀太です。覚えてももらっていないんですね。」

麻生くんは苦笑いをした。

「ああ、そうだったね。」

私は背の高い麻生くんを見上げる。

「それで?」

麻生くんは私の反応に不服そうに答えた。

「一緒に飲みに行く約束をしたはずなんですが?」

「ああ、そうだったかしらね。」

私は笑い飛ばす。

「良いのよ、会社を辞める私に気を遣わなくたって。若い子達と飲みに行きなさい。」

私はひらひらと手を振ると、また歩き出す。

すると麻生くんはつかつかと私の横に並んだ。

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