終わりは始まりか ~私達の場合~
私は壁紙や照明の具体的な提案をするための資料を棚から取り出した。

沈黙のまま、お互いが自分の仕事に集中する。

私は一度チラリと麻生くんを見た。

仕事をしている麻生くんの姿を見るのは初めてだ。

ふ~ん、こういう顔をして仕事をするんだ…。

そんな事が頭をかすめたが、そのまま私も目の前の仕事に意識を戻す。

「ふ~ん、この部屋にこんな壁紙を使うんですか?」

いつの間にか、私の後ろに回っていた麻生くんは、私が手掛けるインテリアボードを眺めていた。

麻生くんの気配に私はドキリとする。

「ああ、これは施主さんの強い希望なの。」

私はそう言いながら、麻生くんの方へ振り返る。

麻生くんの顔が思ったより近くて、ハッとする。

「美月さん。」

麻生くんの唇に私の唇が捕まってしまった。

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