終わりは始まりか ~私達の場合~
麻生くんの腕が後ろから私の首元に回る。

「会社で仕事をしている時の美月さんより表情がやわらかい。」

麻生くんはぽつりとつぶやく。

そうか、麻生くんは私の会社での表情を知っているんだ…。

その事がすごく新鮮に感じた。

「麻生くん?」

私のうなじにキスを落としている麻生くん。

「美月さん、俺にすべてを話す気にはなれないですか?」

私は思わず麻生くんの腕に、そっと手で触れる。

そして静かに首を横に振る。

「それは伊吹さんに遠慮しているんですか?」

「えっ?」

私は驚きの声を上げる。

「美月さんはもし陽輝くんが居なかったら、伊吹さんと結婚していましたか?」

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