終わりは始まりか ~私達の場合~
「さあ、どうかしら。伊吹とは私がこの町を離れる時に一度終わっているから。」

「そうなんですか?」

私は微笑んで、それ以上は話さなかった。

これ以上話を引き出せないと思った麻生くんは私を抱きしめる。

「俺では…、ダメですか?」

私はぎゅっと目をつぶった。

「あなたが私達を背負い込むことはないのよ。あなたはまだ若いんだし。もっと自分の将来をちゃんと考えなさい。一時の気の迷いでそんな事を言うもんじゃないわ。」

私はきっぱりと言う。

そう、伊吹にも似たような事は言ってある。

ただし生活基盤がしっかりしている伊吹に対して、麻生くんはまだまだこれから仕事を確立していく立場だ。

麻生くんにはその事を自覚してほしい。

それこそ麻生くんなら将来独立だって出来るだろう。

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