終わりは始まりか ~私達の場合~
麻生くんの下手な言い訳に、思わず私は苦笑いをする。

妙に可愛らしい麻生くんに、年齢の差をまざまざと感じた。

少し寝ぼけているのか、いつもの様子と違う姿を見せる麻生くん。

こちらの方が実年齢に合っているような気がする。

「何だかぐっすり眠れました。」

私もそうだった事に気が付く。

散々麻生くんの胸で泣いたからだろうか。

それが気持ちの落ち着きをもたらしたのか、ただ泣きつかれてしまっただけなのか、今は自分の中で追及しないようにしよう。

「このまま陽輝の相手をしていてくれる?朝食の用意をしてくるわ。」

私は立ち上がって、麻生くんと陽輝の様子を見下ろす。

その姿はまるで…。

私はその思いを振り切るように、キッチンへ降りていく。

「おはよう、美月。」

お父さんが声を掛けて来た。

< 92 / 181 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop