終わりは始まりか ~私達の場合~
「美月。」

やっぱり伊吹の様子がいつもと違う。

「一体、あいつはお前とどういう関係なんだ?」

「だから前の会社の…。」

私が笑って言いかけると、伊吹がそれを遮る。

「それだけじゃないだろう。」

「伊吹は私の言う事を信じられないっていうの?」

私はムッとしてそう答える。

「美月、お前の動揺が手に取るように分かる。俺に隠し事を出来るわけはないだろう。」

ああ…、確かに伊吹の言う通りなんだろう。

でも…。

「美月がおばさんの為にこちらに戻って来てから、俺はずっとお前のそばで、ずっとお前を見ているんだぞ。」

こんな時の伊吹は妙に迫力がある。

< 99 / 181 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop