Mirror Ball
「あんな物、今まで在ったっけ?」
眞智子の苛々が限界まで達した頃、彼女は「歌舞伎町一番街」のゲートを見付けた。
新宿・歌舞伎町の存在も、ゲートの存在も、既に知っていた。しかし、急に眼に着き始めたのだ。
ゲートを見詰めていると、心がほっと緩む。そして、面白い様に胸が踊り騒いだ。時には、終業後終電間際までゲートを眺め続けた事も在る眞智子だった。
次々とゲートに吸い込まれて行く人々。あの人達は、何を観ているのだろう。
ゲートの先の世界。「歌舞伎町一番街」のゲートを境界に、目眩いばかりの色が着いて観える。しかし、眼が痛く成る程の紅や蒼の中に、ぽつんぽつんと黒い点が在る。眞智子はそれを見付けて、心が洗われる気がした。硬く成った心が、温ま湯で解されて行く。
あれが、新宿・歌舞伎町の「闇」。眞智子は、「闇」を求めていた。「イケナイ事してみたい」。アウトローへの憧れ。
いつまでお堅く生きるのだ。何が哀しくて、面白くも無い人生を歩まなきゃいけないのだ。
知らず知らずの内に抑制して来た慾望が、眞智子の冷え切った心を音を立てながら足蹴にし始めた。
眞智子の苛々が限界まで達した頃、彼女は「歌舞伎町一番街」のゲートを見付けた。
新宿・歌舞伎町の存在も、ゲートの存在も、既に知っていた。しかし、急に眼に着き始めたのだ。
ゲートを見詰めていると、心がほっと緩む。そして、面白い様に胸が踊り騒いだ。時には、終業後終電間際までゲートを眺め続けた事も在る眞智子だった。
次々とゲートに吸い込まれて行く人々。あの人達は、何を観ているのだろう。
ゲートの先の世界。「歌舞伎町一番街」のゲートを境界に、目眩いばかりの色が着いて観える。しかし、眼が痛く成る程の紅や蒼の中に、ぽつんぽつんと黒い点が在る。眞智子はそれを見付けて、心が洗われる気がした。硬く成った心が、温ま湯で解されて行く。
あれが、新宿・歌舞伎町の「闇」。眞智子は、「闇」を求めていた。「イケナイ事してみたい」。アウトローへの憧れ。
いつまでお堅く生きるのだ。何が哀しくて、面白くも無い人生を歩まなきゃいけないのだ。
知らず知らずの内に抑制して来た慾望が、眞智子の冷え切った心を音を立てながら足蹴にし始めた。