Mirror Ball
得体の知れないものに触れ、魅了され、抱かれて本質を知った時、逃げ出す術は在るのか。逃げ道が無くなったとして、歌舞伎町でどう活きろと云うのだ。
「アタシみたいな女が、あの街で食って行けるものか」
眞智子は、自身をカチコチのねんね娘とは思っていなかったが、遊びを知らない女だと思っていた。
齢二十。十六歳から現在まで、銭を稼ぐ事に心血を注いで来た。高校生の頃は、一日の授業が終わればアルバイト先へ直行していた。部活動は、勿論何もしていなかった。群れる事も、元来好きな質では無い眞智子だ。部活動に参加して、お給料頂けるのならば、誰よりも活躍していたに違い無い。
アルバイトだけで無く、学業も抜かり無かった。成績は上の中には収まる様に努めた。高校卒業後の進路を、担任教師に大学や専門学校に進んではと奨められた。だが眞智子は、「時間と金の無駄」と「これ以上、学びたい事は無い」と言う理由で、やはり就職を選んだ。
< 2 / 12 >

この作品をシェア

pagetop