Mirror Ball
半年も仕事を続けて行く内に、眞智子は裏方の責任者として任命された。そして、それを良く思わない者も、やはり少なからず居た。
眞智子が入社するずっと前から裏方で働いている、一人の男子大学生。彼は眞智子を責任者と認めなかった。「新参者の女がリーダー振りやがって」彼はそう言わんばかりに、眞智子に牙を剥いた。店長や正社員の目の着かない所で、眞智子が決めた事には従わなかった。
眞智子は彼に喰って掛かる様な真似はしなかったが、腸が煮え繰り返っていた。「アタシが居なけりゃ、裏方の仕事は回せなかっただろうが」と。−実際に、納品作業等で最も忙しい時期に、眞智子はたった独りで誰の手も借りず残業までして、業務をこなしていた。
尚も牙を剥く彼に対し、眞智子は「歯牙にも掛けない」と言う態度を執り続けた。上っ面では。だが、「女だからって舐めるな」と思っていた。
事件は起きた。事の発端は、彼が部署で使っている連絡帳に、眞智子への宣戦布告を書いた事だ。「お前には従わない。俺達は俺達のやり方でやる。女が出しゃばるな」と言う旨の文章を書き残していたのだ。
気に入らない。手前ェとアタシの問題だろうが。何故他の男子従業員を味方に付けるのだ。ケツの穴の小さい野郎め。
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