だって死なないし。
「始め!」


開始の言葉で一斉に紙をめくる音がする。そしてシャーペンが解答用紙の上を滑っていく。私はというと、


「なんやこれ、全然わからへん…。」


チラリと隣を見るとシャーペンがするすると動いている。それに比べて私のシャーペンは机の上におかれており、右手にあるのは消しゴムだった。

教科は世界史。カタカナのオンパレードで何が何だかわからない。


あーわかんねー!もうどうにでもなれ!!


そうして私は思い付く限りのカタカナを並べ、時には新しい名前も生み出しながら解いていった。




それから数十分後、魂も抜けきった私が席に座っていた。

取り敢えず空欄は埋めた。あと、10分ほど時間が残っているが見直すほどの体力はない。

寝るか…と思ったとき、試験中の静かな雰囲気をぶち壊す音が響いた。



「カシャンッ…!」



私のシャーペンが机から落ちたのだ。


やばっ!


急いで拾おうとするが今はテスト中。おとなしく監督の先生が拾ってくれるのを待った。


「これ、あなたのですか?」


小声で話しかけてくる先生にお礼をいってシャーペンを受け取り、ほっとしているとテスト終了を告げるチャイムが鳴った。
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