チャンスをもう一度
五人が立ち去った・・お店では・・・
なになに・・今の人達?
芸能人?・・撮影?
カメラ回っていたの?
スゴく・・綺麗‥‥‥
ハーフ?クオーター?
イケメン‥‥
おじさまもダンディー‥‥
店員さん達も
日本語ではない言葉も話していた。
すっごく感じの良い家族だった
いいなぁ、あんな感じ
旦那さんが奥さんを溺愛してるのが
わかる‥‥羨ましい‥‥
いろんな言葉が飛びかっている
赤面している人や
ぼぉっとしている人
ため息ついている人もいたが‥‥
本人達は、まったく知らない話し・・・
それを絢菜は、可笑しそうに笑いながら
聞いていた。
「うん?どうした?」
と、樹に聞かれて
「ううん、凄く素敵な家族がいたから
回りの人達の声が聞こえて。」
「えっ、本当に?」
「樹は、食べてばかりいたから。」
「だって、美味しいし
俺には、他の家族なんか気にならない
絢菜と晶輝がいたらいいからな。」
「‥‥‥もぅ・・だけど
ありがとう、とっても嬉しい。」
「どういたしまして、というか
当たり前だろ‥こんなに好きなんだから。」
と、言う樹に
真っ赤になっていると
樹がニヤリと笑いながら
「ああっ、たまんない、帰るぞ。」
と、言うから
「‥‥ばかっ‥‥」
と、笑った。
絢菜は、心の中で
陽翔、望海さん、幸せになって下さい。
と、祈った。
それも、これも樹がいてくれるから
絢菜は、目の前で美味しそうに
食べている樹を愛しそうに見ていた。
樹も・・(新城 樹)
今日は、晶輝を西本のお母さんが見てくれて
たまには、デートしておいでと
いってくれて絢菜とショッピングに来ていた。
まだ、籍はいれてないが
今度の絢菜の誕生日に式と入籍をする。
絢菜は、前回式もなかったし
籍も旦那となった人が一人でしたとか。
だから、二人で行くと俺が決めた。
いつまでも、前の旦那を引きずっていた
絢菜だったが‥‥
それが、愛なのか
ただの執着なのか
わからないみたいだった。
だが、俺は俺の出来る限りの
惜しみ無い愛情を絢菜と晶輝に捧げた。
絢菜の最初の結婚やその前の話しも
全て聞いた。
今は、神経内科の投薬もなく
落ちついているし
まして晶輝がいるから
元気そのもの。
絢菜は、当時のことをとても
悔やんでいた。
絢菜は、
「そんな私だから
樹には、あわないよ。」
と、言ったが
俺は、絢菜の手にある大きな傷痕に
口づけをして
「絢菜は、俺だけを見て
俺だけに愛されていたら
いいんだ。
俺が絢菜と晶輝は、護るから」
と、何度も言い聞かせた。
やっと気持ちも通じて
今では、俺に気持ちも身体も預けて
くれるようになった。
あの家族が入ってきたときに
一瞬、絢菜の表情が固くなった
綺麗な女性に男の俺でも目を引く男性。
あれが、絢菜のか・・・
と、直ぐにわかった。
時折、イタリア語が飛びかっていたから
間違いないだろう。
俺も仕事柄、何ヵ国かの国の言葉は
話せるからわかる。
彼女は、妊娠しているようで
男性は、彼女の体調を気遣いながら
海外特有に感じる
スキンシップが多く
常に彼女の身体にふれ
キスをしている
彼女も頬を染めながら
全てを受けいれている。
彼が彼女を溺愛しているのは
目に見えていた。
だが、最初の表情から
絢菜も苦笑いをしているのが
見えて安心しながら
俺は気づかないふりをした。
俺は、心の中で
ちゃんと幸せにするから
と、彼に言った。