チャンスをもう一度
経済学部に入ると
友人達から
お前、サボりすぎだろう・・とか
久し振りだな・・とか
何やってたんだ・・とか
式典にも来ないと思っていた・・とか
言われて、苦笑いするしかなかった。
俺は、その足で理学部に行き
望海を探そうとしたが・・
理学部に近づくにつれ
回りの視線が・・すごい
好意的な目ではなく
なんだか、疎まれているような
なんだ?どうしたんだ?
と、思いながら
誰かに聞いて見ようと思うが
誰も・・近くにいなくて
遠巻きにひそひそ話をしているだけで····
俺はあきらめて式典会場に移動した。
会場で見つけるのは無理だろうな
何百人といるから·····
と、思っていると
母・和美の顔が見えたので
笑うと母も微笑んでいた。
そのとき·····
ザワザワ·····とざわつきが起こった
何事·····かと······回りを····みると····
ワァ〰️っ!!······とか
きゃーっ!!·····とか
歓声が·····おこり·······
会場中の注目を浴びている方を
······みる····と·····
袴を着た西園寺·····だった·····
長い黒髪を垂らして
まるで·····日本人形の·····ようだ。
女の子達は、ため息と羨望な眼差しで
見ていた。
男は、開いた口がふさがらない用だ。
西園寺の後ろから入ってきた女性も
これまた美しい人達で
一人は着物をきて
一人はワンピースを着ていた。
着物の人は、西園寺のお母さんだろうと
わかった。
良く似ているから·····
ワンピースの女性は、
日本人離れをしている
凄くエキゾチックで綺麗な人だ。
父兄の中も、ザワついていた。
西園寺は、母親達の近くの椅子に座り
回りを一望した。
その時に、俺と目があったから
苦笑いしながら小さく手を上げると
“ちっ”と舌うちをしたのが
わかった。
西園寺は、後ろにいる母親から
何か耳打ちされると
母親とワンピースの女性に
何かを話した。
西園寺の母親と
ワンピースの女性がちらりと
こちらを見たが
直ぐに目をそらされた。
西園寺は、立ちあがったが
母親から止められていた。
回りもザワついていた。