チャンスをもう一度
き**思い知らせる
凌と綾と百合は
式典が終わり学生課に立ち寄り
望海の証明書を受け取り
帰ることにした。
百合は、四年間 望海が通った大学を
考え深げに見渡していた。
あの子は、勉強をきちんとやる子だった。
楽しく幸せだったと思っていただろうか。
辛く悲しい事は・・・
まもなく帰国をする娘を思い・・
元気になっていてくれると
良いがと思っていた・・・
すると
「西園寺!」
と、声をかけられた。
凌は誰が声をかけたのか直ぐにわかったが
綾と百合は、声の方を振り向いた。
だが凌は振り向く事無く
歩みはじめた。
再び「西園寺!望海は?!」と、陽翔。
凌は答えずに歩きを止めない。
「頼む。西園寺、望海に会いたいんだ。」
と、凌の腕を取るが
そのまま振り払われ
「私に、気安く触らないで。
あんたみたいな最低な奴に
話す事はないわ。
早く帰ろう。
母さん、百合おば様。
だから、来たくなかったのよ。」
と、言うと。
「·····悪かったと思っている。
だけど、事情があったんだよ。
それを望海に聞いて欲しいんだ。」
と、言う陽翔に
凌は、この男は何を、言ってるのだろうと
怒りで震えながら····
「あんた、バカなの?
自分の都合ばかりで。
事情があれば、なにをしても
許されるの?
事情があれは、後で言えば
誰でも何でもわかってもらえるの?
おめでたい頭の構造をしているのね?
話にならないわ。
二度と望海に近づかないで
わかった?」
『近づいてごらんなさい。
それ相当の事をしてあげるから』
と、いい放った。
陽翔は、凌の低く冷たい声、
耳元でささやいた最後の言葉に
一瞬怯んだが
拳に力をいれて
「俺はなんと思われてもいいんだ。
だけど、聞いて欲しいだ。」
と、言う陽翔。
回りの人達は、何事?見たいに
通り過ぎて行く人や・・
足をとめる人もいたが・・
凌は、もう話もしたくないと歩み
はじめると・・
「聞いてもらうわけには
いかないでしょうか?
息子が望海さんというお嬢さんにしたことは
申し訳ないと思っています・・が・・」
と、和美が言うと
「母さんは、黙っていて。」
と、陽翔。
凌は、陽翔の親だろうが
まったく怯むことなく
「失礼ですが、聞く必要もありません。」
と、言った。
それでも・・・口を開こうとする
二人に・・
「凌ちゃん、ありがとう。
私は、望海の母親です。」
と、百合は凌を見て微笑み
二人を見てさらに·····
「凌ちゃんは、
望海の事をとても大切にしてくれる
望海の大事な大事な幼馴染なんです。
だから、望海を護る為なら非情になります
失礼は許して下さいね。
だけど、私もあなたの勝手な言い分も
お母様のご依頼も受けることはありません。
最初に望海を切ったのは、
そちら様です。
それなのに今更事情があったのです
と、言われても
ハイそうですか?と
受ける必要がありますでしょうか
望海が何かしたのならともかく
何もしていないと思いますが・・」
と、二人に目を向ける・・
二人とも望海に非など一切ないのは
わかっているから言葉が出ずにいた。
「それでは失礼いたします。」
と、百合は言い歩を進めた。
その後ろ姿を唖然と見ている
陽翔と和美。
「あなた。
望海がどんな気持ちだったか・・
ああ····わかるわけないか?!
わかっていたら、
出来る事じゃないわね。
一つだけ忠告しておくけど
浅はかな考えで望海に近づいたら
大変な事になるわよ。」
と、綾は陽翔に伝えて
凌と百合を追った。
駐車場の車に乗り込み三人は
出ていった。
残された二人は·····
陽翔は、凌や百合や綾に言われて
はじめて·····嫌っ·····どこかでは
わかったいたんだ、きっと。
自分の甘い考え····を····
望海の事を後回しにして
携帯がないから
実家を離れられないから
とか····全部······逃げだ·····
やろうとしなかっただけ
全ては·····後からの·····言い訳だ。
和美も
どれだけ望海さんを傷つけたのか
改めて思い知らされた。
和美自身も自分の中で····
私も一緒にいて
伝えたら聞いてもらえるかもと
思っていたが·····簡単に·····
やはり·····そんなに···甘くはなかった···
あの時、もっと陽翔と
話し合っていたら
と、後悔ばかりが残る
お互いに心に引っ掛かりのできた
学生最後の卒業となってしまった。
陽翔は、何かに堪えるように
拳を握りふるえていた。
そんな陽翔を連れて和美は、
帰宅した。