チャンスをもう一度
入社のギリギリまで
陽翔は元の陽翔ではなく
気の抜けた生活をしていた。
絢菜を望海と間違えて抱いてからは
望海(絢菜)がいるかを確かめる為に
毎日きちんと眠れてないから
睡眠導入剤を軽く飲ませて眠らせ、
目をさますと
絢菜を望海と間違って抱く
『望海・・愛してる
どこにもいかないで‥‥‥』
ベッドの軋む音
肌がぶつかる音
「‥ア‥‥フゥン‥‥ウン‥‥」
「‥‥‥ウ‥‥ウン‥‥」
絢菜には、毎回辛い時間だったが
少しずつ、少しずつ
陽翔も戻りつつ·····あった······
その日絢菜は、
少し遅い時間になってから
陽翔の元に行くと
「あっ、絢菜久しぶりだな。」
と、言った。
絢菜は、びっくりしたが
「元気になったの?」
と、言うと
「ああ。なんとか。
絢菜は、大丈夫なのか?」
「あっ、うん。」
「それは、良かった。」
えっ‥‥覚えてない?
「あっ、あのさ陽翔は、
大丈夫なの?」
と、言うと
「卒業の式典から、
今日まで記憶が定かではないんだ。
だけど····俺が望海にしたことは
望海に対しての甘えと身勝手さと
裏切りなんだ。
それでも····俺は·····望海が好きなんだ。
好きで、好きで、たまらないんだ。
だから、もう一度振り向いて
貰えるように頑張るよ。
無理は·····百も承知だけ······どね。」
と、言った。
あまりにも、辛く悲しそうに言う·····
だが、もう一度だけ‥‥
あの人に振り向いて
もらえるように頑張りたい·····
と、言う陽翔の顔は真剣で
私は返す言葉が見つからずに
部屋をでた。
「なに?帰るの?
なんか、話しあったんじゃないか?」
と、陽翔に聞かれたが
「顔を見に来ただけだから。」
と、答えるのが精一杯
「そっか、絢菜も一年頑張れよ。」と。
「‥‥‥うん‥‥」
と、言って自分の部屋に戻り泣いた。
陽翔を責めたい気持ちもあった
だけど‥‥陽翔のあの顔をみたら
何も言えなかった。
次の日に陽翔は、
自分のマンションに戻っていった。