チャンスをもう一度
絢菜・・・

陽翔との生活に不満?はない。
陽翔は、出産の時もずっと
励ましてくれたり
腰をさすってくれたり
汗を拭いてくれたり
と、甲斐甲斐しくしてくれた。
晶輝が生まれてからも
できるだけ育児に協力もしてくれた。

ただ·····あの時から·····

一度も陽翔は、私を抱いていない。
あの人と間違って····抱いてから·····
陽翔にその時の記憶はないのだが。
·····キスも·····ない······。

好きだとか、愛しているとかもない。

一度、陽翔に
「ねえ、私と結婚したこと後悔してない?」
と、訊ねると
「なに?急に。してないよ。」
と、言ってくれたから
「じゃ、晶輝に弟妹を作って
家族を増やさない?」
と、意気揚々と言うが
「う~ん、今は晶輝だけで良いかな。
まだ、仕事にも専念したいし。」
と、言われた。

この間、陽翔と晶輝と買い物に行った時に
電車の中で突然立ち上がった陽翔に
びっくりして見上げると
のぞみ・・・と、陽翔が言った。

直ぐにそちらを見ると
あの人がチラリと見えた。

変わらずに綺麗だった。

そのまま陽翔を見ると
切なそうな愛しそうな顔をしていて
陽翔がいなくなるように思えて
咄嗟に陽翔の手にふれた。

陽翔は、一瞬びくりとしたが
それからは・・・
心ここに有らずな感じだったので
買い物を手早くして帰宅した。
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