チャンスをもう一度
こ**再会
その日 望海は、
研究資料を工場に届けた為
帰りが遅くなっていた。
ついつい、工場内を見物してしまい·····

工場長が、望海を気にかけてくれて
「ゆっくり見ていけばいいよ。
だけど、帰りは気をつけてな。」
と、言われ
「ありがとうございます。」
と、言うと
工場長は、笑いながらさっていった。

望海が真剣なのが工場長は
嬉しかった。
若い女の子が一生懸命で·····

工場を出たのが20時を過ぎていて
マンションの最寄り駅に着いたのは
22時近かった。

今日、凌はモデルの仕事でいない。
足早に駅から出て家路へと急ぐ······

すると
「お姉さん、綺麗だね。
     一緒に飲もうよ。」
と、いきなり·····
「先を急ぎますから。」
「そんな、つれないこと言わないで。」
と、腕を捕まれた。
ゾワっと、毛穴が開くのがわかる。
······嫌だっ······
「離してください。」
「嫌だね。ほら、いくよ。」
と、ずんずん進んで行こうとする。
「いきません、やめて下さい。
離してください!!」
と、叫ぶが
「いい加減、諦めたら、うるさいんだよ」
と、握っている腕に力をグッと入れながら
耳元でささやかれた。
「ほら、ちょっと飲んだから送るから。」
と、また腕を引く。

望海は、早く帰れば良かったと
嘆くが遅い·····

その時·····男の後ろから
「なぁ、その子
嫌がってるように見えるけど。」
と、声が。
男が声のする方を向くと
スーツを着た男性が二人と
その後ろに警察官も見えた。

男は、チッというと、
望海から離れて去って行った。
「大丈夫ですか?」
と、男性から声をかけられ
「······はいっ‥‥ありが‥‥とう
     ‥‥‥ございます‥‥‥っ‥‥‥」
と、返事をするのが
  いっぱいでいると·····
「····のぞ·····み·····?」
と、男性に言われて
はっと、顔をあげると
「‥‥‥ひ‥‥か‥‥る‥‥」
涙をためた瞳をみた瞬間
陽翔は、望海を抱き締めて
「何やってんだよ!!」
と、言ったが
望海の身体が、ふるえていたため
陽翔は、
「大丈夫だから、大きな声だして
ごめん、もう大丈夫だから。」
と、何度もいいながら
背中をさすり強く抱き締める
少しすると望海のふるえも
小さくなり
「大丈夫か?」
と、陽翔が訪ねると
コクンと頷づき
「陽翔、離してくれて大丈夫だよ。」
と、言うと
「うん。」
と、言いながら中々離さない陽翔。
すると······
「藤本、彼女困ってるぞ。」
と、言う声に
望海が再びびっくるすると
「吉本さんが声だすから
望海がびっくりしたじゃないですか?」
「お前な。」
と、話す二人に
望海は、おかしくなり
クスっ、と笑い
「陽翔、本当に大丈夫だから。」
と、言うと
「もっと抱き締めていたかった。」
と、言いながら離れる陽翔に
昔を·····思い出す·····

陽翔が離れると望海は、
「すみません。変なことに巻き込んで
しまいまして。」
と、陽翔と一緒にいる男性に頭を下げた。

「いえ、無事で良かった。
私は、藤本の上司で
吉本と言います。」
と、言われ
「陽翔の?
あっ、私は本小路望海と申します。」
と、挨拶をする······と····
「あっ‥‥あなたが・・・」
と、言われて
小首をかしげる望海。

陽翔は、終始優しい目で望海を見ていた。
吉本は、
「藤本、まだその辺にいるといけないから
ちゃんと送りとどけるんだぞ。」
「わかってますよ。
吉本さんも気をつけて帰って下さい。」
「お前な、気持ちこもってないぞ。」
と、話す二人は本当に仲が良さそうで
望海は、クスクス笑っていた。

その顔は、綺麗で可愛くて
吉本も、良くわかった。
陽翔の気持ちが。

だが、陽翔は妻帯者だ。
どうしたものか·····
と、考えながら
二人と別れて家路を急いだ。
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