チャンスをもう一度
タクシーを見つけたら
乗れば良いと考えながら歩いた。
頭の中は·······
陽翔の結婚····そして···子供·····
もう····陽翔の事は···忘れよう····
そして陽翔とも、もう会わない。
陽翔にも、そう伝えよう
陽翔は、私に気持ちなんかないから
平気だろうけど
私····には···無理·····
頬を伝う涙を拭きながら
早く帰りたい·····それだけだった····
その時····後ろから····
手首を捕まれ
立ち止まると同時に抱きしめられた。
「‥‥待って‥‥お願い‥‥望海‥‥」
「‥‥‥‥ひ‥‥か‥‥るっ‥‥」
いやいやと腕の中で首をふる私に
陽翔は、私の向きを変えながら
抱きしめる腕に力を入れ
「ごめん。
でも離してやれない。
ここで離したら、
二度と望海には、会えないから」
と、言われ
「・・どうして・・」
わかるのかと思っていたら
「やっばり‥‥でも‥‥
望海は、絢菜の代わりじゃない
そんなことを思ったことない
絢菜と結婚したけど
絢菜を愛していない
俺はっ‥‥今でも‥‥
望海を愛している
望海しか····愛せない···だ···」
苦しげに声をつまらせながら話す陽翔に
思わず顔をあげると
陽翔の頬にも涙が流れていて
付き合っている時に
陽翔の泣いた顔を見たことがなくて・・
あまりにも辛そうで・・
手を伸ばし指で涙に触る・・・
陽翔は、ピクッとしたが
私の指に頬を寄せ
今度は、望海の涙に唇をつけた
左右の目元に唇をつけ
望海と見つめあう·····
どちらからともなく
二人の唇は重なり
啄むキスから
段々と深くなり
キスの合間に陽翔は・・
「好きなんだ」
「愛している」
と、何度もささやく・・
唇が離れた時には、
二人とも息が上がり
陽翔は、望海の手を取り
近くのビジネスホテルに入った。
チェックインの時も手を離すことなく
エレベーターの中でも
ずっと繋いだまま
部屋に入ると同時に
抱きしめられて
キスをする
何度も・・何度も・・角度を変えながら
舌を絡め取られて吸いあげられると
「‥‥フゥ‥ン‥‥」
甘い息がもれ
膝の力が抜け‥‥‥
陽翔に抱き止められ
そのまま抱き上げられて
ベッドに運ばれた。
ダブルのベッドは広く
そっとベッドにおかれて
陽翔は、上から望海を見詰め
「‥‥愛している‥‥」
と、言う
その言葉に、望海の瞳から涙が溢れだす
陽翔は、その涙を唇ですいとり
望海の唇にキスをした
「·····しょっ·····ぱいっ·····」
「····はぁっ····やっと、声が···聞けた···」
ホッとした顔をする陽翔に
「‥‥ひか‥る‥ごめん‥‥ね‥」
と、言うと
陽翔は、首をふりながら
深く‥‥深く‥‥
キスをし‥‥息が上がり
頭が真っ白になる‥‥
「‥‥ノゾミ‥‥ノゾミ‥望海っ‥‥」
目を開けると陽翔の顔
手を伸ばし陽翔の首に腕を回すと
陽翔自身が入ってきた
いつの間にか何も身に着けてない・・・
「‥エッ‥‥アッ‥‥フゥン‥‥」
「‥‥クッ‥‥ツゥ‥ァ‥ン‥
‥‥‥あいっ‥してる‥‥」
陽翔は、何度も愛していると
囁きながら、腰を打ちつけ
「‥ごめんっ‥‥もうっ‥もたないっ‥‥」
「‥‥ひかっ‥‥るっ‥フゥ‥‥ン‥」
陽翔に強く抱きしめられ
涙が流れる。
陽翔が好き‥‥やっぱり‥好き·····
絢菜さんに対して罪悪感でいっぱいだが・・
今は·····考えたく···なかった·····
ぐったりしている私を
陽翔は抱き上げて
シャワー室へ
陽翔とシャワーを浴びながら
再び翻弄されて
「もぅ、陽翔のバカ!」
と、ベッドに運ばれながら言うと
「ごめん、ごめん、だって・・
望海を前にして我慢てきるわけない・・」
陽翔は、私と絢菜さんを間違えたが。
絢菜さんを抱く事は、一度もない。
望海と出会ってからは、望海だけだと
言ってくれた。
だけど
「望海ごめんね。
でも、いい加減な気持ちで
望海を抱いたわけじゃない。
俺を信じて待っていてくれないか?」
「陽翔。
辛い立場に立たせてごめんね。
今までも何度も忘れようとしたの
今日の話を聞いて
もう、陽翔に会うのも連絡を取り合うのも
止めようと思っていたの。
陽翔と友達のようになるには
また、辛すぎて無理だからと・・
でも‥でも‥‥ごめんなさい‥‥
陽翔が‥‥好きなの‥‥」
と、言うと陽翔から抱きしめられて
「お願いだから、
忘れないで
離れないで
ずっと好きでいて
俺があの時きちんとしていたら
望海に辛い思いをさせることも
なかった。
そんな俺が勝手な事を言っているのは
わかっている。
だけど、望海を今また失ったら
俺は、壊れてしまう。」
と、望海の涙を拭きながら
陽翔は、言った。
昨夜からの涙と疲れ
陽翔の腕の中の安心感からか
望海はそのまま眠ってしまった。
陽翔は、望海のおでこにキスをしながら、
再び望海をこの腕に抱けた事の喜びと
今後について絢菜ときちんと話を
しなければと考えながら
眠りについた。