Je veux le protéger





「僕たちが動くことを決めた、事の発端は二年前。

Dunkelheitが銀龍に襲われ、僕が意識不明になったこと。

その事件を起こしたきっかけは銀龍にあるし、僕らも否定しきれなかったから僕らにも否はある。

けど、全ての事のうらにはある男の子がいたの。

その子は小さい時に親が亡くなってたみたいでね。
親戚をたらい回しにされてたみたいなんだ。」





ゆっくりと、まるで子どもに絵本でも読み聞かせるかのように話していく風櫻。





「たらい回しにされる中でその子はいろんな人を見た。

不倫してる人、クスリをしてる人、風俗で働いている人。

共通しているのは世間一般でいわれる〝はみ出し者〟ってことくらいかな。

小さい時にそんな環境にいたせいか元々なのかはわからないけど、その子は思ったの。」




そこで一度言葉を切る風櫻。

大きく深呼吸をして風櫻は理櫻によく似た真面目な顔を向けてくる。





「〝自分の人生が引っ掻き回されるなら、誰かの人生を引っ掻き回せばいい。〟ってね。」


『それって……』


「ただの逆恨みじゃない!」


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