Je veux le protéger
そう言って気だるげにこちらを見るそいつ。
そのまま、俺たちの答えを聞くこともせず、去っていくその背中。
「あの人‥‥どこかで‥‥‥‥。」
「優、知り合いなのぉ?」
来瑠が聞いている。
「分からない。
でも、あったことあるような気がして‥‥」
首を傾げる優乃。
どこかで会ったことがある?
「‥‥本当に覚えてねぇの?」
壁にもたれかかった理櫻がいつもとは違う、冷たい声色で優乃に問いかける。
「どういう意味?」
「‥‥自分で気付けよ。
あんたが撒いた種だ。」
「私‥‥が?」
「一つだけヒントやるよ。
あんたと俺らはたった1度だけ会ったことがある。」
「‥‥‥‥‥‥?」
「後は自分で考えろ。
気分悪ぃから帰る。」