Je veux le protéger



壁から背を離し、理櫻の双子が去って行った方に向かって歩いていく理櫻。

好奇心旺盛ではあるが、いつも冷静でしっかりと周りを見ている上に基本的には笑顔の理櫻がここまで嫌悪の感情を見せるなんて‥‥。




「私、何したんだろう‥‥?」


『族関係ではないだろうな。
優乃は今まで族には無関係だったんだから。』


「そ…そうだね。」




俺が優乃を族に引き込んだんだ。

だから、守らなくちゃいけない。
引き込んで一番危険なところに連れてきてしまったから、

それでも、一緒にいたいと思ったんだ。


族という立場に引き込んでしまったとしても。
一緒にいたかった。

ガラでもないし、キザかもしれないけど命に変えてでも守りたい。



そんなことを考えていたからだろうか。
優乃の表情が陰ったことに気が付かなかったのは。

そんなことを思っていたからだろうか。
理櫻の苦しみに気づけなかったのは。



周りが見えなかったからだろう。



「そいつは…」
「私は‥‥‥‥」


「「そんなに綺麗な人間じゃないよ。」」




理櫻と優乃の呟きに気が付けなかったのは。




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