Je veux le protéger




理櫻さんを完全に無視しながら俺に話しかけてくる。

言ってることは正論。
俺が止まれる保証はない。




『けど、このまま甘んじていたらそれからも抜け出せなくなる。』


「甘ったれんな。
人ってのはないつか離れるときが来るんだよ。

それがどんな状況かはしらねぇがな。」


『……………。』


「抜け出せなくなるから、先に抜け出す?
ふざけんな。

そんなの逃げ出してるだけだろ。」




わかってる。
けど………………




『逃げなきゃやっていけない。』


「ならその根性叩きなおしてやる。
逃げることがくだらなく思えてくるぜ?

ここにいればな。」




悪戯っぽく笑うこの人はどれだけのものを背負っているんだろうか。



< 142 / 143 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop