Je veux le protéger
「俺が何だって?」
『風南、お帰り。』
「ん。」
足音どころかドアの開く音も聞こえなかった‥‥
相変わらず普段からどれだけ気を張ってるんだか‥‥
無関心・無干渉のくせに誰よりも早く他人のために動く双子の兄。
今回のように〝自分の欲のため〟に動こうとするのは珍しい。
「風南お帰りー」
「‥‥話って何」
「ただいまくらい言えよなぁ。
まぁ、それは今度でいいか。
とりあえず座れよ。」
ヘラっと笑った兄さんだが、風南が問いかけると真剣な顔をしてソファに深く腰掛けていたのを少しだけ浅く座り直す。
風南は兄さんの前に深く腰掛けて、俺は風南の隣に普段通りに浅くもなく深くもなくといった感じに腰掛ける。
それを確認した兄さんはゆっくりと口を開いた。
「つい最近、風南のクラスに転入生が来たな?」
「‥‥らしいな」
『うん。』
兄さんの問いかけに風南とほぼ同時に返す。
「そいつが銀姫だとなればお前らはどうする?」
さっきと同じような質問。
俺は何もしないと答えた。
ただ、それは〝兄さんになにかするのか?〟という質問だったから。
けど、今回のは〝もしも柴優乃が銀姫だったらなにかするのか?〟という質問だ。
なら、答えは1つ。