Je veux le protéger
風櫻side
『‥‥‥‥寝ちゃったんだ。』
あの後、叔父さんが仕事に戻ってひとりになった僕は寝てしまったらしい。
だって暇だったんだもん。
一人部屋だし。
ふと横に目を向けるとベッドに顔を伏せて寝ている黒髪の人物。
髪には赤のメッシュが入っていて僕がねだりにねだって渋々ながらもいれてくれたその色に思わず笑がこぼれる。
その僅かな声に反応したのか閉じられていた目が開かれる。
「風兄、おはよう」
『‥ん。』
僕が起きてることを聞かされて来てくれたんだろう。
兄さんは夜はバイトしてるだろうし、櫻兄はここにいないってことは、どこかに出かけてるか家で待ってるんだろうな。
「‥‥大丈夫か?」
『うん。心配かけてごめんね。』
「別に。」
風兄はよく“別に”って言葉で片付けるけど、それは相手を思ってのこと。
気にするな、大丈夫。
そんなことを素直に言えないから、いつも同じ言葉ではぐらかすんだ。
小さい頃から変わってない。