Je veux le protéger




どうする?って言われてもよく分からない。

あの時のお姫様が雷光にいたとしても、雷光には罪はないから。

狼は獲物を狙い待ち、猫は高いところから獲物を見下ろし、狐は獲物を騙し、豹は獲物を噛み殺す。

最後に決断をくだすのはいつだって豹だった。

狼がどれだけ獲物を狙っていても、猫がどれだけ獲物を視界に捉えていても、狐がどれだけ獲物の信頼を得ていても‥‥‥‥


美味しいところを持っていくのはいつも豹。

だけど、豹は知っている。
己のために他の獣が一歩譲ってくれていることに。




『風兄はどうしたいの?』


「は?」


『だって、雷光にお姫様がいたとしても雷光は関係ないでしょ?

関係ない人を巻き込むなんて嫌だよ。』


「‥‥雷光には手を出さねぇさ。」


『‥‥え?』


「何だかんだで理櫻が気に入ってるしな。
それに‥‥俺も興味あるし。」


『珍し。』



珍しい。
櫻兄が気に入ってることも、風兄が興味を持っていることも。

本当に珍しい。


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