Je veux le protéger

理櫻side




「‥‥風櫻」



空き部屋から出て行ってすぐに部屋から聞こえた風南の小さな呟き。

空き部屋があるこの廊下はすごく静かだ。

だから、小さな呟きもよく響く。




『風櫻‥‥か。』



俺たちが守ろうとしたもの。
俺たちが守れなかったもの。

目の前で落ちていくその瞳をただ‥‥俺たちは黙ってみていた。


俺たちと同じ紅がかった茶色の瞳は、未だに閉じられたまま。

いつ開き、俺たちをその瞳にうつすのか分からない。


歩くと静かな廊下に上靴と地面が擦れる音が響く。



『静かなのは好きじゃない。』



風南といる時は別だけど。と思いながら笑う。



「りのーん!」
「「りの(ちゃん)、どこにいた(のぉ)?」」
「何かあったの?」
「理櫻?」




うるさい廊下。

さっきの場所とは大違いだ。
何でこんなにも違うんだろうな。



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