Je veux le protéger
パソコンを閉じて思い腰を上げる。
部屋から出るとちょうどお姫様が倉庫を出ていくところだった。
俺の周りには不器用な人が多い。
守る方法も、倒す方法も、願う方法もなにもかも。
不器用な人だから、ひとりで抱え込む。
頼ってくれれば、手を伸ばしてくれれば……手を差し出し、その手をつかむのに。
『ほんと……不器用な人。』
お姫様を見ながら呟いた俺の声は、思ったよりも柔らかくて、思ったよりも優しかった。
「理櫻さん?
それ、どういう意味ですか?」
『……いや、何もねぇ。
後片付けするぞ。』
「……はい。」
少し不服そうな健にふっと笑って階段を降りる。
バカだと思う。
みんな。
守りたい者がいるなら手を伸ばさなきゃ。
願いがあるなら掴み取らなくちゃ。
倒したいなら仲間を見つけなきゃ。
不器用な人。
ひとりで抱え、傷つき、壊れ、朽ちていく。