Je veux le protéger
那智の叫びと、理櫻の冷静な声とに気を取られ視線を戻すとそこには誰の影もなかった。
あるのは開いた窓とそこから入る風で揺れるカーテン。
『なんで…………優乃が……』
その日から理櫻が雷光はおろか学校にすら来なくなった。
薫も何となく俺と同じことにたどり着いていたみたいで、苦虫をつぶしたような感じだった。
「……馬鹿な奴ら」
小さく聞こえたその声は誰のものか。
ただ、前に聞いた理櫻の双子の片割れの声に似ていた気がする。