Je veux le protéger


今日もふらふらと校舎を歩いていた。

ふと目に付いたのは黒髪の男子生徒。

こんな早い時間に来る生徒なんて珍しい。
そのうえ、黒髪…………まさか。




『理櫻?』




“ん?薫、来るの早いな。”そう言っていた理櫻が思い浮かぶ。

そういえば、理櫻は俺より早く学校に来てた。

Dunkelheitに理櫻が入っていると知らされた昨日。

何となく分かっていた俺は、俺らを襲ったDunkelheitは理櫻じゃないことに気がついた。

それは蒼も同じだったらしい。

けど、それを那智に言うことはしなかった。
俺らを襲った犯人じゃなくても、雷光の下のやつを襲ったのは理櫻だろうから。

それに、蒼が優乃に口止めされたなら俺も言ってはいけないんだろうと思ったから。

裏切った優乃が何を考えているのか分からないが、那智といたときの優乃の笑顔は本物だと思う。

だから、もう一度信じてみようと思った。
まあ、俺よりも年下だしな。

先輩としても、雷光幹部としても、後輩のことは信じてやりたいんだ。


そんなことを思いながら理櫻らしき人物の後をつけた。


その人物は静まり返った空き部屋に入っていく……かと思えばふと振り返って俺をまっすぐに見つめてきた。



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